帽子の歴史・ハットやキャップは紀元前の文明に、既に存在

帽子の歴史・帽子の種類

2020年08月20日 17時18分


 
パナマハットの歴史

パナマハットは、パナマ草という植物を裂き、紐状にした素材を編み込むことにより作られる、主に夏向けの中折れ帽子です。17世紀前半から中頃に、南米エクアドルの海岸沿いと山岳地帯などで生産が始まったとされています。
 
19世紀前半には「パナマハットのグランドファーザー」と呼ばれるマニュエル・アルファロが、パナマハットを巨大なビジネスへと変えます。アルファロはエクアドルで作られた帽子を、日ざしの厳しい「パナマ」に輸出。エクアドルが起源であるにもかかわらず、パナマハットが「パナマ」と呼ばれる理由は、こんなところにあったのです。

 
  ハンチングの歴史

「ハンチング」の起源は14世紀の北イングランドだと言われています。上流階級の間では乗馬やハンティングが盛んに行われていましたが、当時、一般的だったシルクハットは動きのあるアクティビティーには向いていませんでした。そのため、実用的な「ハンチング」が生み出されたというわけです。
 
「ハンチング」は19世紀から20世紀初頭には、イギリスやアイルランドにおいて、ひじょうに一般的な帽子になりました。アメリカには19世紀末に上陸。20世紀初頭には、少年たちの定番アイテムとして広く着用されるようになりました。「キャスケット」は「ハンチング」の一種で、アメリカでは新聞売りの少年たちがかぶっていたことから「ニュースボーイ・キャップ」と呼ばれることもあります。

 
  ベレー帽の歴史

ベレー帽は、もしかしたら、もっとも古い形の帽子なのかもしれません。青銅器時代のヨーロッパでは、ベレー帽に似た形をした帽子がかぶられていたのではないかと考えられています。
 
現代的なベレー帽は、南フランスからスペイン北部にかけて広がるバスク地方が起源です。ピレネー山脈の遊牧民がかぶっていた伝統的な「かぶりもの」が、ベレー帽のオリジナルだと考えられています。19世紀には、フランス・スペイン両方のバスク地方でベレー帽の商業生産が始まっています。現在もフランス側に「LAULHERE(ローレール)」、スペイン側に「ELOSEGUI(エロセギ)」という、世界を代表するベレー帽メーカーがあります。

 
  ウエスタンハットの歴史

カウボーイハットとも呼ばれる「ウエスタンハット」は、北米大陸のカウボーイの象徴とも言える帽子です。似たようなシルエットを持つ帽子は、13世紀モンゴルの騎馬民族がかぶっていましたが、「ウエスタンハット」のデザインはメキシコの「ソンブレロ」に影響されたものです。
 
いつ頃から「ウエスタンハット」が世の中に登場したのか、はっきりとは分かりません。はっきりしているのは、南北戦争の頃にメキシコ北部で生まれ、「Stetson(ステットソン)」の「Boss of the Plains」
が「ウエスタンハット」という存在を決定的なものにしたということだけです。

 
  人類と共に進化した帽子

人類は紀元前の昔から、天候や環境に応じて、またはステイタスの象徴として、帽子をかぶり続けてきました。現在、私たちがかぶっている帽子の多くは、19世紀中頃から20世紀初頭にかけてスタイルが確立されました。日本でも帽子は太古の昔から存在していたようですが、どちらかというと「ヘッドギア」的な役割を与えられて進化してきました。現在、日本人が着用している帽子のほとんどは西洋で生まれました。
 
帽子は今後もさまざまな文化や気候、そしてファッションの影響を受けながら、人類と共に歩んでいくことでしょう。